不適王の実録記  

            ©️2024 不適王 (id:nekozebito)                                    

#2 あの日

当時、私はいわゆるニートの類に属していた。

それまでの経過の記述については省略させて頂く。

ニートとは言っても、私の場合は外出は可能で、本格的な社会参加の形、社会復帰のタイミングを、自分なりに心的外傷の過去を整理しつつ、模索していた時期であった。

時間を要していたとは言え、実際に、友好的な不登校・引きこもりの支援団体への接触と交流も試みていた時期であった。

 

その日、部屋の窓から見た空が青空でとても良い天気だったこと、布団を干したことを記憶している。

お昼前ぐらいだっただろうか。

突然、父母と身内が、どこの誰かも知らない派手で気性が荒そうな中年の女性を伴って私の前に現れた。

しかし私には何が起きたのか察した。

両親が身内とともに、私の知らぬところでコソコソと、このような騙し討ちの手回しをしていたことを。

 

突然、大人数が目の前に現れ、粛々とした空気感、全員からの一方的な圧。

そして、父母が連れてきた派手な中年の女性は、自己紹介も全く無いまま、ややなまりのある怒声か罵声かも区別がつかない大声で、一方的にまくし立て始め、こちらの言い分など一切聞く耳をもたないでたあろう状態であった。

その派手に着飾って薄ら笑いを浮かべた中年の女性は、私が全て悪く、私の心根に全て非があり、家族に迷惑をかけ、家族のお荷物で、改心改善が必要であり、この家から出ていき、どこの何かも分からない寮?で集団生活をするよう仕向けたのだ。

これは同時に、この口汚い女性の傍らで鎮座していた両親と身内の代弁でもあった。

 

私にも1人の個人として、生まれてからそれまでの人生に様々な辛苦があり、人間嫌いになる出来事もあり、不登校になったり、メンタルや体を壊したりもした。

そこに対する配慮ある言葉は一切無かった。

 

代替案すら皆無であった。

選択の余地すら無かった。

それまで、私は両親から社会に沢山存在するであろう選択肢やリソースの全てを提案されたり紹介されたわけではなく、また冒頭に記述したように私は全てを拒否してきたこともない。

ちなみに、この時、私はこの見ず知らずの中年の女性が運営している不明瞭な施設への入寮?の承諾をしていない。

 

一方的な人生と人格の否定、脅迫、強要、強制であった。

 

私は極めて不快な感情、急激なストレスと怒りの中にありつつも、自分を押し殺し、冷静に努めてた。

今でも思い出したくないほどの尋常ではない極めてストレスフルな1コマである。

 

そして、あろうことか、この強引で異常な現場に、自己顕示欲の塊と金の亡者であった女性は、地方テレビ局のカメラクルーまで引き連れていて、私は「親不孝のダメ人間」として一部始終を撮影されていたのである。

当然、私はこの事も知らされていないし、同じく承諾をしていない。

 

 

不適王

 

※せっかくコメントを頂き、また返信コメントも合わせて表示していたところ、こちらの手違いで消えてしまいました。

とてもご丁寧に温かいコメントを下さった石畳のん♪さん、誠に申し訳ございません。